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百人一首
CONTENTS

味わいながら百人一首を覚える

百人一首の時代背景を理解する

 

百人一首にふれる

味わいながら百人一首を覚える

家庭で気軽に遊べる小倉百人一首、気軽にできる歴史の旅である。末永く付き合っていきたいものだ。 しかし、覚えたつもりでも、エビングハウスの忘却曲線のとおり、すぐに忘れてしまう。忘れない為には、繰り返し振り返るしかない。
苦行を積むように百人一首をただ暗記するのは味気ないので、味わいながら反芻できるように、共通のブロックごとに分けてみた。クイズ感覚でやってみると、けっこう楽しめ、意外と記憶に残る。
百人一首イラスト

字決まりからのアプローチ

1字決まり(むすめふさほせ 計7首)

村雨の 露もまだひぬ まきの葉に
霧たちのぼる 秋の夕暮

寂蓮法師(87)

住の江の 岸に寄る波 よるさへや
夢の通ひ路 人目よくらむ

藤原敏行朝臣(18)

めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬまに
雲がくれにし 夜半の月かな

紫式部(57)

吹くからに 秋の草木の しをるれば
むべ山風を あらしといふらむ

文屋康秀(22)

さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば
いづこも同じ 秋の夕ぐれ

良暹法師(70)

ほととぎす 鳴きつるかたを 眺むれば
ただ有明の 月ぞ残れる

後徳大寺左大臣(81)

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に あはむとぞ思ふ

崇徳院(77)

6字決まり(朝ぼらけ・わたの原・君がため 各2 計6首)

<朝ぼらけ>

朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに
吉野の里に 降れる白雪

坂上是則(31)

朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに
あらはれわたる 瀬々の網代木

権中納言定頼(64)

<わたの原>

わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと
人には告げよ あまのつり舟

参議篁(11)

わたの原 漕ぎ出でてみれば ひさかたの
雲居にまがふ 沖つ白波

法性寺入道前関白太政大臣(76)

<君がため>

君がため 春の野に出でて 若菜摘む
わが衣手に 雪は降りつつ

光孝天皇(15)

君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな

藤原義孝(50)

5字決まり(世の中 各1 計2首)

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

皇太后宮大夫俊成(83)

世の中は つねにもがもな なぎさ漕ぐ
あまの小舟の 綱手かなしも

鎌倉右大臣(93)

4字決まり(難波・心・契り 各2 計6首)

<難波>

難波潟 みじかき蘆の ふしの間も
逢はでこの世を 過ぐしてよとや

伊勢(19)

難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ
みをつくしてや 恋ひわたるべき

皇嘉門院別当(88)

<心>

心あてに 折らばや折らむ 初霜の
おきまどはせる 白菊の花

凡河内躬恒(29)

心にも あらで憂き世に ながらへば
恋しかるべき 夜半の月かな

三条院(68)

<契り>

契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波こさじとは

清原元輔(42)

契りおきし させもが露を 命にて
あはれ今年の 秋もいぬめり

藤原基俊(75)

自然のモチーフからのアプローチ

有明の月・有明(計4首)

今来むと いひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな

素性法師 (21)

有明の つれなく見えし 別れより
暁ばかり 憂きものはなし

壬生忠岑(30)

朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに
吉野の里に 降れる白雪

坂上是則(31)

ほととぎす 鳴きつるかたを 眺むれば
ただ有明の 月ぞ残れる

後徳大寺左大臣(81)

有明の月以外の月(計8首)

天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出でし月かも

安倍仲麻呂 (7)

月見れば ちぢに物こそ かなしけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど

大江千里(23)

夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを
雲のいずこに 月宿るらむ

清原深養父(36)

めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬまに
雲がくれにし 夜半の月かな

紫式部(57)

やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて
かたぶくまでの 月を見しかな

赤染衛門(59)

心にも あらで憂き夜に ながらへば
恋しかるべき 夜半の月かな

三条院(68)

秋風に たなびく雲の 絶え間より
もれ出づる月の 影のさやけさ

左京大夫顕輔(79)

嘆けとて 月やは物を 思はする
かこち顔なる わが涙かな

西行法師(86)

朝ぼらけ(計3首)

朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに
吉野の里に 降れる白雪

坂上是則(31)

明けぬれば 暮るるものとは 知りながら
なほ恨めしき 朝ぼらけかな

藤原道信朝臣(52)

朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに
あらはれわたる 瀬々の網代木

権中納言定頼(64)

(計3首)

いにしへの 奈良の都の 八重桜
今日九重に 匂ひぬるかな

伊勢大輔(61)

もろともに あはれと思え 山桜
花よりほかに 知る人もなし

前大僧正行尊(66)

高砂の 尾上の桜 咲きにけり
外山の霞 立たずもあらなむ

権中納言匡房(73)

(計6首)

花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせし間に

小野小町(9)

心あてに 折らばや折らむ 初霜の
おきまどはせる 白菊の花

凡河内躬恒(29)

ひさかたの 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ

紀友則(33)

人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香に匂ひける

紀貫之(35)

もろともに あはれと思え 山桜
花よりほかに 知る人もなし

前大僧正行尊(66)

花さそふ あらしの庭の 雪ならで
ふりゆくものは わが身なりけり

入道前太政大臣(96)

紅葉・もみぢ(計5首)

奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の
声聞く時ぞ 秋はかなしき

猿丸大夫(5)

このたびは 幣もとりあへず 手向山
紅葉の錦 神のまにまに

菅家(24)

小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば
今ひとたびの みゆき待たなむ

貞信公(26)

山川に 風のかけたる しがらみは
流れもあへぬ 紅葉なりけり

春道列樹(32)

嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は
竜田の川の 錦なりけり

能因法師(69)

松・まつ(計4首)

立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば 今帰り来む

中納言行平(16)

誰をかも 知る人にせむ 高砂の
松も昔の 友ならなくに

藤原興風(34)

契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波こさじとは

清原元輔(42)

来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに
焼くや藻塩の 身もこがれつつ

権中納言定家(97)

秋風(計3首)

夕されば 門田の稲葉 おとづれて
蘆のまろやに 秋風ぞ吹く

大納言経信(71)

秋風に たなびく雲の 絶え間より
もれ出づる月の 影のさやけさ

左京大夫顕輔(79)

み吉野の 山の秋風 さよ更けて
ふるさと寒く 衣打つなり

参議雅経(94)

秋風以外の風(計7首)

天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ
乙女の姿 しばしとどめむ

僧正遍昭(12)

吹くからに 秋の草木の しをるれば
むべ山風を あらしといふらむ

文屋康秀(22)

山川に 風のかけたる しがらみは
流れもあへぬ 紅葉なりけり

春道列樹(32)

白露に 風の吹きしく 秋の野は
つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける

文屋朝康(37)

風をいたみ 岩打つ波の おのれのみ
くだけてものを 思ふころかな

源重之(48)

有馬山 猪名の笹原 風吹けば
いでそよ人を 忘れやはする

大弐三位(58)

風そよぐ ならの小川の 夕暮は
みそぎぞ夏の しるしなりける

従二位家隆(98)

キーワードからのアプローチ

忍・しのぶ(計6首)

みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆゑに
乱れそめにし 我ならなくに

河原左大臣(14)

浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど
あまりてなどか 人の恋しき

参議等(39)

しのぶれど 色に出でにけり わが恋は
物や思ふと 人の問ふまで

平兼盛(40)

ながらへば またこのごろや しのばれむ
憂しと見し世ぞ 今は恋しき

藤原清輔朝臣(84)

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば
しのぶることの 弱りもぞする

式子内親王(89)

百敷や 古き軒端の しのぶにも
なほ余りある 昔なりけり

順徳院(100)

わび(計3首)

わびぬれば 今はた同じ 難波なる
みをつくしても 逢はむとぞ思ふ

元良親王(20)

恨みわび ほさぬ袖だに あるものを
恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

相模(65)

思ひわび さても命は あるものを
憂きにたへぬは 涙なりけり

道因法師(82)

さび(計3首)

山里は 冬ぞさびしさ まさりける
人目も草も かれぬと思へば

源宗于朝臣(28)

八重むぐら しげれる宿の さびしきに
人こそ見えね 秋は来にけり

恵慶法師(47)

さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば
いづこも同じ 秋の夕暮れ

良暹法師(70)

(計4首)

逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに
人をも身をも 恨みざらまし

中納言朝忠(44)

明けぬれば 暮るるものとは 知りながら
なほ恨めしき 朝ぼらけかな

藤原道信朝臣(52)

恨みわび ほさぬ袖だに あるものを
恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

相模(65)

人もをし 人も恨めし あぢきなく
世を思ふゆゑに 物思ふ身は

後鳥羽院(99)

(計3首)

忘らるる 身をば思はず ちかひてし
人の命の 惜しくもあるかな

右近(38)

忘れじの ゆく末までは かたければ
今日をかぎりの 命ともがな

儀同三司母(54)

有馬山 猪名の笹原 風吹けば
いでそよ人を 忘れやはする

大弐三位(58)

あはれ(計3首)

あはれとも いふべき人は 思ほえで
身のいたづらに なりぬべきかな

謙徳公(45)

もろともに あはれと思へ 山桜
花よりほかに 知る人もなし

前大僧正行尊(66)

契りおきし させもが露を 命にて
あはれ今年の 秋もいぬめり

藤原基俊(75)

生き物からのアプローチ

(計5首)

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む

柿本人麻呂(3)

かささぎの 渡せる橋に おく霜の
白きを見れば 夜ぞふけにける

中納言家持(6)

夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも
よに逢坂の 関はゆるさじ

清少納言(62)

淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に
幾夜ねざめぬ 須磨の関守

源兼昌(78)

ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば
ただ有明の 月ぞ残れる

後徳大寺左大臣(81)

鹿・しか(計3首)

奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の
声聞く時ぞ 秋はかなしき

猿丸大夫(5)

わが庵は 都のたつみ しかぞ住む
世をうぢ山と 人はいふなり

喜撰法師(8)

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

皇太后宮大夫俊成(83)

昆虫(計1首)

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに
衣かたしき ひとりかも寝む

後京極摂政前太政大臣(91)

複数出てくる地名からのアプローチ

難波(計3首)

難波潟 みじかき蘆の ふしの間も
逢はでこの世を 過ぐしてよとや

伊勢(19)

難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ
みをつくしてや 恋ひわたるべき

皇嘉門院別当(88)

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる
みをつくしても 逢はむとぞ思ふ

元良親王(20)

逢坂(計3首)

これやこの 行くも帰るも 別れては
知るも知らぬも 逢坂の関

蝉丸(10)

名にし負はば 逢坂山の さねかずら
人に知られで くるよしもがな

三条右大臣(25)

夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも
よに逢坂の 関はゆるさじ

清少納言(62)

吉野(計2首)

朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに
吉野の里に 降れる白雪

坂上是則(31)

み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて
ふるさと寒く 衣打つなり

参議雅経(94)

地名からのアプローチ

(計10首)

春過ぎて 夏来にけらし 白妙の
衣ほすてふ 天の香具山

持統天皇 (2)

天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出でし月かも

安倍仲麻呂 (7)

立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば 今帰り来む

中納言行平(16)

このたびは 幣もとりあへず 手向山
紅葉の錦 神のまにまに

菅家(24)

名にし負はば 逢坂山の さねかずら
人に知られで くるよしもがな

三条右大臣(25)

小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば
今ひとたびの みゆき待たなむ

貞信公(26)

契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波こさじとは

清原元輔(42)

有馬山 猪名の笹原 風吹けば
いでそよ人を 忘れやはする

大弐三位(58)

大江山 いく野の道の 遠ければ
まだふみも見ず 天の橋立

小式部内侍(60)

嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は
竜田の川の 錦なりけり

能因法師(69)

(計5首)

ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは

在原業平朝臣(17)

嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は
竜田の川の 錦なりけり

能因法師(69)

筑波嶺の 峰より落つる みなの川
恋ぞつもりて 淵となりぬる

陽成院(13)

みかの原 わきて流るる いづみ川
いつ見きとてか 恋しかるらむ

中納言兼輔 (27)

朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに
あらはれわたる 瀬々の網代木

権中納言定頼(64)

その他の地名(計9首)

田子の浦に うち出でて見れば 白妙の
富士の高嶺に 雪は降りつつ

山部赤人(4)

みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆゑに
乱れそめにし 我ならなくに

河原左大臣(14)

住の江の 岸に寄る波 よるさへや
夢の通ひ路 人目よくらむ

藤原敏行朝臣(18)

みかの原 わきて流るる いづみ川
いつ見きとてか 恋しかるらむ

中納言兼輔 (27)

由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え
行方も知らぬ 恋の道かな

曾禰好忠(46)

いにしへの 奈良の都の 八重桜
今日九重に 匂ひぬるかな

伊勢大輔(61)

音に聞く たかしの浜の あだ波は
かけじや袖の 濡れもこそすれ

祐子内親王家紀伊(72)

憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ
はげしかれとは 祈らぬものを

源俊頼朝臣 (74)

淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に
幾夜ねざめぬ 須磨の関守

源兼昌(78)

複数出てくる単語からのアプローチ

憂・うき(計6首)

有明の つれなく見えし 別れより
暁ばかり 憂きものはなし

壬生忠岑(30)

心にも あらで憂き世に ながらへば
恋しかるべき 夜半の月かな

三条院(68)

憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ
はげしかれとは 祈らぬものを

源俊頼朝臣 (74)

思ひわび さても命は あるものを
憂きにたへぬは 涙なりけり

道因法師(82)

ながらへば またこのごろや しのばれむ
憂しと見し世ぞ 今は恋しき

藤原清輔朝臣(84)

おほけなく うき世の民に おほふかな
わがたつ杣に 墨染の袖

前大僧正慈円(95)

久し・ひさかた(計4首)

ひさかたの 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ

紀友則(33)

嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は
いかに久しき ものとかは知る

右大将道綱母(53)

滝の音は 絶えて久しく なりぬれど
名こそ流れて なほ聞こえけれ

大納言公任(55)

わたの原 漕ぎ出でてみれば ひさかたの
雲居にまがふ 沖つ白波

法性寺入道前関白太政大臣(76)

この世・世の中(計4首)

難波潟 みじかき蘆の ふしの間も
逢はでこの世を 過ぐしてよとや

伊勢(19)

あらざらむ この世の外の 思ひ出に
いまひとたびの 逢ふこともがな

和泉式部(56)

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

皇太后宮大夫俊成(83)

世の中は つねにもがもな なぎさ漕ぐ
あまの小舟の 綱手かなしも

鎌倉右大臣(93)

(計4首)

人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香に匂ひける

紀貫之(35)

誰をかも 知る人にせむ 高砂の
松も昔の 友ならなくに

藤原興風(34)

逢ひ見ての 後の心に くらぶれば 
昔は物を 思はざりけり 

権中納言敦忠(43)

百敷や 古き軒端の しのぶにも
なほ余りある 昔なりけり

順徳院(100)

乱れ(計2首)

みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆえに
乱れそめにし 我ならなくに

河原左大臣(14)

長からむ 心も知らず 黒髪の
乱れて今朝は 物をこそ思へ

待賢門院堀河(80)

濡れ(計3首)

秋の田のかりほの庵の苫をあらみ
わが衣手は露にぬれつつ

天智天皇(1)

音に聞く たかしの浜の あだ波は
かけじや袖の 濡れもこそすれ

祐子内親王家紀伊(72)

見せばやな 雄島のあまの 袖だにも
濡れにぞ濡れし 色は変はらず

殷富門院大輔(90)

つれな(計2首)

有明の つれなく見えし 別れより
暁ばかり 憂きものはなし

壬生忠岑(30)

夜もすがら 物思ふころは 明けやらで
閨のひまさへ つれなかりけり

俊恵法師(85)

(計6首)

契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波こさじとは

清原元輔(42)

恨みわび ほさぬ袖だに あるものを
恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

相模(65)

音に聞く たかしの浜の あだ波は
かけじや袖の 濡れもこそすれ

祐子内親王家紀伊(72)

見せばやな 雄島のあまの 袖だにも
濡れにぞ濡れし 色は変はらず

殷富門院大輔(90)

わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の
人こそ知らね かわく間もなし

二条院讃岐(92)

おほけなく うき世の民に おほふかな
わがたつ杣に 墨染の袖

前大僧正慈円(95)

(計4首)

秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ
わが衣手は 露にぬれつつ

天智天皇(1)

君がため 春の野に出でて 若菜摘む
わが衣手に 雪は降りつつ

光孝天皇(15)

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに
衣かたしき ひとりかも寝む

後京極摂政前太政大臣(91)

み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて
ふるさと寒く 衣打つなり

参議雅経(94)

同じフレーズ・類似語からのアプローチ

ひとりかも寝む(計2首)

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む

柿本人麻呂(3)

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに
衣かたしき ひとりかも寝む

後京極摂政前太政大臣(91)

心も知らず(計2首)

人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香に匂ひける

紀貫之(35)

長からむ 心も知らず 黒髪の
乱れて今朝は 物をこそ思へ

待賢門院堀河(80)

名こそ惜しけれ(計2首)

恨みわび ほさぬ袖だに あるものを
恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

相模(65)

春の夜の 夢ばかりなる 手枕に
かひなく立たむ 名こそ惜しけれ

周防内侍(67)

物をこそ思へ(計2首)

みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえ
昼は消えつつ 物をこそ思へ

大中臣能宣朝臣(49)

長からむ 心も知らず 黒髪の
乱れて今朝は 物をこそ思へ

待賢門院堀河(80)

夜半の月かな(計2首)

めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬまに
雲がくれにし 夜半の月かな

紫式部(57)

心にも あらで憂き夜に ながらへば
恋しかるべき 夜半の月かな

三条院(68)

火・燃・焼(計3首)

みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえ
昼は消えつつ 物をこそ思へ

大中臣能宣朝臣(49)

かくとだに えやはいぶきの さしも草
さしも知らじな もゆる思ひを

藤原実方朝臣(51)

来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに
焼くや藻塩の 身もこがれつつ

権中納言定家(97)

係結びからのアプローチ

(係助詞 強調)+連体形(計16首)

●ぞ+助動詞 完了(ぬる)

筑波嶺の 峰より落つる みなの川
つもりて 淵となりぬる

陽成院(13)

●ぞ+助動詞 存続(る)

ほととぎす 鳴きつるかたを 眺むれば
ただ有明の 月残れ

後徳大寺左大臣(81)

●こそ+形容詞 已然形、ぞ+助動詞 推定(なる)

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿鳴くなる

皇太后宮大夫俊成(83)

●ぞ+助動詞 詠嘆(ける)

かささぎの 渡せる橋に おく霜の
白きを見れば 夜ふけにける

中納言家持(6)

山里は 冬さびしさ まさりける
人目も草も かれぬと思へば

源宗于朝臣(28)

人はいさ 心も知らず ふるさとは
昔の 香に匂ひける

紀貫之(35)

白露に 風の吹きしく 秋の野は
つらぬきとめぬ 玉散りける

文屋朝康(37)

●ぞ+助動詞 過去(し)

見せばやな 雄島のあまの 袖だにも
濡れに濡れ 色は変はらず

殷富門院大輔(90)

●や+助動詞 推量(む)、ぞ+形容詞 連体形(き)

ながらへば またこのごろ しのばれ
憂しと見し世 今は恋しき

藤原清輔朝臣(84)

風そよぐ ならの小川の 夕暮は
みそぎ夏の しるしなりける

従二位家隆(98)

●ぞ+動詞 連体形

わが庵は 都のたつみ しか住む
世をうぢ山と 人はいふなり

喜撰法師(8)

わびぬれば 今はた同じ 難波なる
みをつくしても 逢はむと思ふ

元良親王(20)

夕されば 門田の稲葉 おとづれて
蘆のまろやに 秋風吹く

大納言経信(71)

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に あはむと思ふ

崇徳院(77)

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば
しのぶることの 弱りもする

式子内親王(89)

●ぞ+形容詞 連体形

奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の
声聞く時 秋はかなしき

猿丸大夫(5)

こそ(係助詞 強意/逆接)+已然形(計11首)

●こそ+助動詞 詠嘆(けれ)

滝の音は 絶えて久しく なりぬれど
こそ流れて なほ聞こえけれ

大納言公任(55)

●こそ+助動詞 打ち消し(ね)

八重むぐら しげれる宿の さびしきに
こそ見え 秋は来にけり

恵慶法師(47)

わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の
こそ知ら かわく間もなし

二条院讃岐(92)

●こそ+助動詞 過去(しか)

恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり
人知れずこそ 思ひ初めしか

壬生忠見(41)

●こそ+動詞 已然形

みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえ
昼は消えつつ 物をこそ思へ

大中臣能宣朝臣(49)

音に聞く たかしの浜の あだ波は
かけじや袖の 濡れもこそすれ

祐子内親王家紀伊(72)

長からむ 心も知らず 黒髪の
乱れて今朝は 物をこそ思へ

待賢門院堀河(80)

●こそ+形容詞 已然形

月見れば ちぢに物こそ かなしけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど

大江千里(23)

恨みわび ほさぬ袖だに あるものを
恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

相模(65)

春の夜の 夢ばかりなる 手枕に
かひなく立たむ 名こそ惜しけれ

周防内侍(67)

●こそ+形容詞 已然形、ぞ+助動詞 推定(なる)

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿鳴くなる

皇太后宮大夫俊成(83)

や、やは、か、かは(係助詞 疑問/反語)+連体形(計15首)

●や+助動詞 推量(べき)

難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ
みをつくして 恋ひわたるべき

皇嘉門院別当(88)

●や+助動詞 原因推量(らむ)

住の江の 岸に寄る波 よるさへ
夢の通ひ路 人目よくらむ

藤原敏行朝臣(18)

●や 結び省略

難波潟 みじかき蘆の ふしの間も
逢はでこの世を 過ぐしてよと

伊勢(19)

●や+助動詞 意志(む)

心あてに 折らば折ら 初霜の
おきまどはせる 白菊の花

凡河内躬恒(29)

●や+助動詞 推量(む)、ぞ+形容詞 連体形

ながらへば またこのごろ しのばれ
憂しと見し世 今は恋しき

藤原清輔朝臣(84)

●や+動詞 連体形

しのぶれど 色に出でにけり わが恋は
思ふと 人の問ふまで

平兼盛(40)

●やは+助動詞 使役(する)

嘆けとて 月やは物を 思はする
かこち顔なる わが涙かな

西行法師(86)

●やは+動詞 連体形

かくとだに えやはいぶきの さしも草
さしも知らじな もゆる思ひを

藤原実方朝臣(51)

有馬山 猪名の笹原 風吹けば
いでそよ人を 忘れやはする

大弐三位(58)

●か+助動詞 原因推量(らむ)

みかの原 わきて流るる いづみ川
いつ見きとて 恋しかるらむ

中納言兼輔(27)

●か+助動詞 推量(む)

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりも寝

柿本人麻呂(3)

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに
衣かたしき ひとりも寝

後京極摂政前太政大臣(91)

●か+助動詞 意志(む)

誰をも 知る人にせ 高砂の
松も昔の 友ならなくに

藤原興風(34)

●か+形容詞 連体形

浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど
あまりてなど 人の恋しき

参議等(39)

●かは+動詞 連体形

嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は
いかに久しき ものとかは知る

右大将道綱母(53)

修辞からのアプローチ

もがな(終助詞 願望 計5首)

名にし負はば 逢坂山の さねかずら
人に知られで くるよしもがな

三条右大臣(25)

君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな

藤原義孝(50)

忘れじの 行末までは かたければ
今日をかぎりの 命ともがな

儀同三司母(54)

あらざらむ この世の外の 思ひ出に
いまひとたびの 逢ふこともがな

和泉式部(56)

今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを
人づてならで いふよしもがな

左京大夫道雅(63)

ならなくに(助動詞 断定+助動詞 打消+接尾語+接続助詞 計2首)

みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆえに
乱れそめにし 我ならなくに

河原左大臣(14)

誰をかも 知る人にせむ 高砂の
松も昔の 友ならなくに

藤原興風(34)

らむ(助動詞 原因推量 及び 形容詞+助動詞 婉曲 計7首)

住の江の 岸に寄る波 よるさへや
夢の通ひ路 人目よくらむ

藤原敏行朝臣(18)

吹くからに 秋の草木の しをるれば
むべ山風を あらしといふらむ

文屋康秀(22)

みかの原 わきて流るる いづみ川
いつ見きとてか 恋しかるらむ

中納言兼輔(27)

心あてに 折らばや折らむ 初霜の
おきまどはせる 白菊の花

凡河内躬恒(29)

夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを
雲のいずこに 月宿るらむ

清原深養父(36)

あらざらむ この世の外の 思ひ出に
いまひとたびの 逢ふこともがな

和泉式部(56)

長からむ 心も知らず 黒髪の
乱れて今朝は 物をこそ思へ

待賢門院堀河(80)

てふ(格助詞+動詞 連体 計2首)

春過ぎて 夏来にけらし 白妙の
衣ほすてふ 天の香具山

持統天皇 (2)

恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり
人知れずこそ 思ひ初めしか

壬生忠見(41)

その他のアプローチ

六歌仙(計5首)

わが庵は 都のたつみ しかぞ住む
世をうぢ山と 人はいふなり

喜撰法師(8)

花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせし間に

小野小町(9)

天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ
乙女の姿 しばしとどめむ

僧正遍昭(12)

ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは

在原業平朝臣(17)

吹くからに 秋の草木の しをるれば
むべ山風を あらしといふらむ

文屋康秀(22)


※大伴黒主は未収録

三十六歌仙(計23首)

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む

柿本人麻呂(3)

田子の浦に うち出でて見れば 白妙の
富士の高嶺に 雪は降りつつ

山部赤人(4)

奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の
声聞く時ぞ 秋はかなしき

猿丸大夫(5)

かささぎの 渡せる橋に おく霜の
白きを見れば 夜ぞふけにける

中納言家持(6)

花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせし間に

小野小町(9)

天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ
乙女の姿 しばしとどめむ

僧正遍昭(12)

ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは

在原業平朝臣(17)

住の江の 岸に寄る波 よるさへや
夢の通ひ路 人目よくらむ

藤原敏行朝臣(18)

難波潟 みじかき蘆の ふしの間も
逢はでこの世を 過ぐしてよとや

伊勢(19)

今来むと いひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな

素性法師 (21)

山里は 冬ぞさびしさ まさりける
人目も草も かれぬと思へば

源宗于朝臣(28)

心あてに 折らばや折らむ 初霜の
おきまどはせる 白菊の花

凡河内躬恒(29)

有明の つれなく見えし 別れより
暁ばかり 憂きものはなし

壬生忠岑(30)

朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに
吉野の里に 降れる白雪

坂上是則(31)

ひさかたの 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ

紀友則(33)

誰をかも 知る人にせむ 高砂の
松も昔の 友ならなくに

藤原興風(34)

人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香に匂ひける

紀貫之(35)

しのぶれど 色に出でにけり わが恋は
物や思ふと 人の問ふまで

平兼盛(40)

恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり
人知れずこそ 思ひ初めしか

壬生忠見(41)

契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波こさじとは

清原元輔(42)

逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに
人をも身をも 恨みざらまし

中納言朝忠(44)

風をいたみ 岩打つ波の おのれのみ
くだけてものを 思ふころかな

源重之(48)

みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえ
昼は消えつつ 物をこそ思へ

大中臣能宣朝臣(49)

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