ビートルズが解散した時代
その中でも、結成後半世紀以上たっても未だに輝きを失わないビートルズの楽曲。彼らが解散した頃の時代にタイムトラベルしてみた。
1969(昭和44)年
話題・事件
●東大安田講堂占拠事件(1月)/ ●セブンスター発売(2月、100円)/ ●夕刊フジ創刊(2月) ●中ソ国境紛争勃発(3月)/ ●ジョン・レノンとオノ・ヨーコ、アムステルダムのホテルで平和アピールの「ベッド・イン」(3月)/ ●連続ピストル射殺事件・永山則夫逮捕(4月)/ ●国鉄グリーン車登場(5月)/ ●東名高速道路(東京─小牧間)全線が開通(5月)/ ●新宿西口フォークゲリラ地下広場事件(6月)/ ●アポロ11号月面着陸・アームストロング船長(7月)/ ●ザ・ビートルズ、アルバム「アビイ・ロード」発表(9月) ●千葉県松戸市「すぐやる課」(10月)/ ●全米ベトナム反戦デモ(10月)/ ●金田正一、400勝達成(10月)/ ●沖縄72年返還で日米共同声明(11月)/ ●池袋に「パルコ」開店(11月)/ ●女子プロボーラー誕生(須田佳代子、中山律子、並木恵美子)/ ●横綱柏戸引退/ ●尾崎将司プロゴルファーに転向
流行語・CM
●あっと驚くタメゴロー/ ●やったぜ・ベイビー/ ●それを言っちゃー・おしまいよォ/ ●エコノミック・アニマル/ ●チンタラ/ ●ワルノリ/ ●断絶の時代/ ●情報化社会/ ●教育ママ ●オー・モーレツ(丸善石油)/ ●みじかびの~はっぱふみふみ(パイロット)/ ●クリープを入れないコーヒーなんて(ネッスル)
番組開始
●クイズ・タイムショック/ ●ヤングOh!Oh!/ ●8時だよ全員集合/ ●巨泉・前武ゲバゲバ90分/ ●コント55号!裏番組をぶっとばせ!!/ ●プレイガール/ ●柔道一直線/ ●水戸黄門/ ●鬼平犯科帳/ ●紅白歌のベストテン/ ●唄子・啓介のおもろい夫婦/ ●サザエさん/・ムーミン/ ●アタックNO1/ ●連想ゲーム/ ●天と地と/ ●鬼警部アイアンサイド/ ●宇宙大戦争・スタートレック/ ●セイヤング(文化放送)
映画・出版(掲載)
●ニュージーランドの若大将(シリーズ第一作)/ ●心中天網島/ ●私が棄てた女/ ●明日に向かって撃て/ ●イージー・ライダー/ ●アリスのレストラン/ ●女王陛下の007/ ●真夜中のカウボーイ/ ●ウッドストック/ ●ヘアー/ ●男はつらいよ・フーテンの寅(第1作)/ ●ゴルゴ13/ ●赤頭巾ちゃん気をつけて(庄司薫、芥川賞)/ ●青春の蹉跌(石川達三)
ヒット曲
●白いブランコ(ビリー・バンバン)/ ●風(シューベルツ)/ ●時には母のない子のように(カルメン・マキ)/ ●昭和ブルース(ブルーベル・シンガーズ)/ ●白い色は恋人の色(ベッツィ&クリス)/ ●ある日突然(トワエ・モア)/ ●長崎は今日も雨だった(内山田洋とクールファイブ)/ ●夜明けのスキャット(由紀さおり)/ ●港町ブルース(森進一)/ ●君は心の妻だから(鶴岡雅義と東京ロマンチカ)/ ●恋の奴隷(奥村チヨ)/ ●どしゃぶりの雨の中で(和田アキ子)/ ●人形の家(弘田三枝子)/ ●いいじゃないの幸せならば(佐良直美)/ ●愛の化石(浅丘ルリ子)/ ●ひとり寝の子守唄(加藤登紀子/ ●夜と朝のあいだに(ピーター)/ ●あなたの心に(中山千夏)/ ●今日でお別れ(菅原洋一)/ ●ミヨチャン(ザ・ドリフターズ)/ ●黒ネコのタンゴ(皆川おさむ)/ ●雪が降る(アダモ)/ ●ゲット・バック(ビートルズ)/ ●ホンキー・トンク・ウィメン(ローリング・ストーンズ)/ ●アクエリアス(ミュージカル「ヘアー」主題曲)/ ●マイ・ウェイ(フランク・シナトラ) / ●カム・トゥゲザー、サムシング(ザ・ビートルズ)
物価
●ビール(中瓶):130円/ ●かけそば:80円/ ●週刊誌:70円 ●封書:15円 ●はがき:7円 ●国鉄最低料金:30円/ ●新聞(月):750円
1970(昭和45)年~1971(昭和46)年3月
話題・事件
●日航「よど号」事件(3月)/ ●an・an創刊(3月)/ ●日本万国博覧会(3~9月)/ ●エフエム東京開局(4月)/ ●日米安保条約継続(6月)/ ●歩行者天国スタート(8月)/ ●三島由紀夫割腹自殺(11月)/ ●人口1億人突破/ ●世界貿易センタービル完成/ ●スモン病患者、チクロ入り粉末ジュース事件/ ●光化学スモッグ/ ●トヨタセリカ発売(57万円)/ ●日刊アルバイトニュース創刊/ ●三浦雄一郎エベレスト滑降/ ●植村直己マッキンリー単独登頂/ ●大場政夫世界フライ級チャンピオン/ ●中山律子女子プロ初パーフェクトゲーム/ ●ザ・タイガース解散(1971.1)/ ●米中ピンポン外交(1971.3)/ ●多摩ニュータウン入居開始(1971.3)/ ●成田新空港反対闘争/ ●日活ロマンポルノ/ ●青島幸男が佐藤首相を「総理は財界の男めかけ」と批判(1971.3)/ ●ビートルズ解散(1971.3)
流行語・CM
●ウーマン・リブ/ ●三無主義(無気力・無関心・無責任)/ ●しらける、わるのり、鼻血ブー/ ●男は黙ってサッポロビール/ ●違いがわかる男(ネッスル)/ ●ディスカバー・ジャパン(国鉄)/ ●♬気楽に行こーよ、俺たちは~(モービル石油)/ ●♬振り向かないで、素敵な髪のあなた~(ライオン)/ ●ダーバン(レナウン)/ ●マンダム(丹頂)
番組開始
●ステージ101/ ●あしたのジョー/ ●時間ですよ/ ●大岡越前/ ●遠山の金さん/ ●遠くへ行きたい/ ●NHKのど自慢/ ●ハレンチ学園/ ●おくさまは18歳/ ●細うで繁盛記/ ●樅の木は残った(NHK大河ドラマ)/ ●ネコジャラ市の11人/ ●(コント55号の野球拳!打ち切り)/ ●日本史探訪/ ●氷点/ ●新婚さんいらっしゃい/
映画・出版(掲載)
●どですかでん/ ●戦争と人間/ ●ソルジャー・ブルー/ ●いちご白書/ ●レット・イット・ビー/ ●エルビス・オン・ステージ/ ●私は好奇心の強い女/ ●ドラえもん/ ●男どアホウ甲子園/ ●ワル/ ●銭ゲバ/ ●ダメおやじ/ ●ド根性ガエル/ ●子連れ狼
ヒット曲
●竹田の子守唄(赤い鳥)/ ●走れコウタロー(ソルティー・シュガー)/ ●戦争を知らない子供たち/ ●誰もいない海(トワ・エ・モア)/ ●圭子の夢は夜ひらく(藤圭子)/ ●希望(岸洋子)/ ●四つのお願い(ちあきなおみ)/ ●京都の恋(渚ゆう子)/ ●男と女のお話(日吉ミミ)/ ●手紙(由紀さおり)/ ●黄色いサクランボ(ゴールデン・ハーフ)/ ●知床旅情(加藤登紀子)/ ●傷だらけの人生(鶴田浩二)/ ●ブラック・マジック・ウーマン(サンタナ)/ ●レット・イット・ビー(ビートルズ)/ ●長い夜(シカゴ)/ ●ヴィーナス(ショッキングブルー)/ ●クロース・ツー・ユー(カーペンターズ)/ ●明日に架ける橋(サイモンとガーファンクル)/ ●雨に濡れても(明日に向かって撃て主題曲)/ ●花嫁(はしだのりひことクライマックス、1971.1)/ ●また逢う日まで(尾崎紀世彦、1971.2)/ ●あの素晴らしい愛をもう一度(加藤和彦&北山修、1971.3)/ ●よこはま・たそがれ(五木ひろし、1971.3)/
物価
●ビール(中瓶):140円/ ●かけそば:100円/ ●タクシー基本料金:130円 ●大卒初任給:4万961円/ ●理髪:550円/ ●40代父親の小遣い月:6,346円/ ●寿司(並):250円/ ●即席ラーメン:30円/ ●銭湯(大人):38円/ ●タバコ(ハイライト):80円
20世紀最高のレコード芸術 Beatlesの「Abbey Road」
メディアの価値
レコードの宿命、それはA面が終わったら、B面にひっくり返さなければならないということである。カセットテープやCD、iPadなどでアルバムを聴くと、当然A面とB面が繋がって演奏されるが、これを続けて聴けて便利だと捉えるかどうかで、そのメディアの価値が変わってくる。
レコードの物理的制約
レコードが発明されて以来、ポップスのレコードアルバムは短い曲の寄せ集めだった。物理的な制約があるので、片面に入れられる曲の数は限られている。1曲終わると、数秒の無音状態の後、次の曲が始まる。それの繰り返しである。そしてA面が終わったらB面にしなければならない。
レコードの宿命をメリットに
しかし、Beatlesのアルバム「Abbey Road」では、このレコードの宿命が逆にメリットにして活かされている。
A面は、曲が適度な間をもって続いた後、ラストの曲「I Want You (She's So Heavy)」ではエンディングのリフレーンが延々と繰り返される。こういう場合、普通ならフェイドアウトで緩やかに終わるであろう展開が、ハサミで切ったようにプツッと終わる。リスナーは思わずハッとする。そしてA面で受けた印象を反芻しながらレコードをひっくり返し、期待を膨らませながらB面に針を落とす。この作業がレコードならではの作業で、ちょうど演劇の幕間としての大事な効果があるのだ。
A面とB面との調和
B面では 「Here Comes the Sun」から始まり、メドレーを含め、狙った間合いで展開していく。しかしA面とB面で調和がとれた一つの独特の世界を醸し出している。コンセプトアルバムとして評価の高かった「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」のクオリティを間を意識することによって、より昇華させたアルバムになっている。
「Abbey Road」はレコードの特性を最大限に活かして作られており、一つ一つの曲の良さ、ジャケットのセンスの良さも相まって、最高のレコード芸術と言えるだろう。